たかくのブログ

ソフトウェアの品質管理、特にテスト、そして、映画と音楽、お酒とラーメンの話を綴ります。

改めて、「品質保証」とは? ~SEA Seminar in April 2017~

5月の連休明けに、新しいプロジェクトが始動するたかくです。次の仕事は、何かというと「とあるソフトウェアのテスト」です。※内容については、業務上差し控えさせていただきます。(*´∀`*)

さて、2017/4/21にソフトウェア技術者協会(SEA)が主催した、「SEA Seminar in April 2017」に参加してきました。備忘録を兼ねて、内容を書き留めます。

 

1.アブストラクト

 SEAでは、ソフトウェア品質保証について、改めて考えるセミナーをスタートしました。

講師は、品質保証の世界では知らない人はいない、奈良 隆正さん(NARAコンサルティング 元日立製作所)です。

奈良さんの知見を元に、日本のソフトウェア品質保証の歴史を辿り、今後のあり方を考えるのが、このセミナーの主旨です。

 

2.品質保証のイメージ:若手エンジニアにとって

 昨今の若手エンジニアは、品質保証をどのように捉えているのでしょうか?

奈良さんに寄れば

①若手エンジニアは、コーディング以外の工程を雑用と捉えている。(特に35歳未満)

②押しつけられる

③余計な仕事

④がんばってデータとっても、具体的な解決策は示されない

⑤品質保証部門の担当者は何をしているのかわからない

うーん。散々ですね。特に奈良さんは、「①」を憂いていました。

こんな状況を少しでも改善したいという奈良さんそしてSEAの事務局の皆さんの思いがこのセミナーをスタートさせるきっかけとなっています。

3.日本の品質保証の定義

ここで、有識者の品質保証に対するコメントを紹介します。

石川 馨氏(1981)

□品質保証は品質管理の真髄。消費者が安心して、満足して買うことができ、それを

 使用して安心感、満足感をもち、しかも長く使用することができるという品質を

 保証すること。

 

飯塚先生(2005)

□お客様に安心して使っていただけるような製品を提供するためのすべての活動。

 

にしさん(2006)

□品質保証活動とは、品質リスク(バグがあるかもしれない)を最小にする活動。

なお、にしさんは、このようにこのコメントをTwitterで全力で否定しています。(^_^)

 

4.日本の品質保証とは?

奈良さんは、品質保証を次のように定義しました。
□製品(サービス)を使ってもらうユーザーに「安心感」を持っていただくため、
 開発者、提供組織が行うべき諸活動
□開発者の仕事はすべて品質保証に直結している
□品質保証はアクティビティ(活動)である。ワーク(作業)ではない。
□ソフトウェア品質管理は:
 全プロセス、全組織・全員参加、多岐に渡る活動
 
5.ソフトウェア品質保証~黎明期・隆盛期~
 
□黎明期~1970年代~
 ・ハードウェア品質管理手法の導入
 ・ソフトウェア工場制度導入
 ・標準化されたプロセス(手順)を繰り返すことで組織に開発のノウハウを蓄積し製
  品の品質を向上させていく手法
 
 ・水際作戦
 ・体力勝負⇒開発者10人 VS. 品質保証1人
 
 ・開発ドキュメントの必要性が高まった時期
 ・コンピュータをIBMと呼んでいた時代
 
□隆盛期~1980年代~
「日本的品質保証」が確立された時期
 ・背景:ソフトウェア開発量の爆発的増加⇒水際作戦から開発フェーズの
     品質管理重視へ
 ・ソフトウェア工場制度の定着
  ⇒製品完成度重視
  ⇒日本的品質管理の導入
   ①PCDA
   ②QC7つ道具
    ⇒80年代前半は、体系的に活用されない。後半から体系的に活用される。
   ③小集団活動(全員参加)
 ・ソフトウェア検査部門の独立(発展、定着期)
  ⇒検査部門は開発の全プロセスに対して関与
 ・V字モデルに基づく管理体系の構築、普及
 ・メトリクスや管理技法の開発、普及
 
 ・「品質管理≓バグ管理」の時代
 
 ・品質保証の手法は進化したが、開発手法は進化しなかった時代
 

5.ディスカッションタイム&懇親会 

 

様々なコメントが登場しましたが、ボクが懇親会で投げかけた1つの疑問を紹介しま
す。
 
何故、日本は、ハードウェアの品質管理をソフトウェアに適用したか?
何故、欧米のソフトウェア管理手法を研究しなかったのか?
 
この疑問に対する先達の答えを紹介します。
 
①日本の要求仕様は欧米と比較してシビア(特に見た目にこだわるのは、日本だけ)
②結果、要因が不足する
③素人を即戦力でエンジニアとして、現場に出した
④コンピューターサイエンスのスキルを持つ技術者を育成しなかった
 
そのため、日本独自の開発手法・品質保証の手法が生まれ、ソフトウェア開発もガラパ
ゴス化したのではないかとの意見がありました。

 

6.まとめ

 ・今回は、80年代で時間終了でした。

 ・続きは、第2回です。

 ・参考リンク  

https://www.facebook.com/groups/247095969032805/?fref=ts

http://sea.jp/